登場人物

源氏名:松木 由樹

中学生のひとり息子がいる。由樹に似て引っ込み事案だった息子が、棚瀬の息子(ワタル)に誘われサッカー部に入部、すっかり明るくなったと喜んでいる。旦那との関係は良好だが、見合い結婚のため思ったような性生活が送れず、不満もある。パートに出たいとは思っているものの、家事の手を抜きたくないと短時間の勤務が出来るデリバリーヘルス嬢として働き始めた。

棚瀬 浩介

中学生の息子(ワタル)がいる。穏やかで優しい、真面目な父親と言った雰囲気。営業職のため、日中の空き時間に遊びに出ることもある。

あの人と結婚して、私は少し狼い妻になった。息子が生まれて、私は少し強い母になった。でも、こうして熊本駅の前に立つ私はただの「女」。まだ見ぬ恋人と待ち合わせる、ひとりの女なのだ。

「棚瀬さん、でしょうか?」

緊張を隠して声をかけると、男はゆっくりと振り向いた。メールに合った通りの、グレーのスーツに革の鞄、という出で立ちの男だ。彼は眼鏡を直して、「あなたが由樹さんかな?」と微笑んだ。優しそうな人でよかった、と安堵したものもつかの間、ひやっとした焦りが芽生えた。

私は、この人を知っている。

まさか、デリバリーヘルス嬢として待ち合わせたお客様が、息子の親友のお父さんだなんて出来すぎたハプニングを、誰が予想するだろうか。

「はじめまして。由樹さんがこんなきれいな女性だったなんて、嬉しいな」

思いもよらぬ言葉に、私は目を見開いた。気づいていないのだろうか。私の方から正体を明かして、墓穴をほってしまってはいけない。小さな打算を棟に、彼の腕を取って歩き出す。

九品寺のホテル外へ向かう道すがら、彼は天気や仕事にまつわるちょっとしたエピソードを、にこやかに話し続けている。本当に気づいていないのかもしれない。それよりも久しぶりのデートめいた雰囲気に呑まれてしまいたい。由樹として街を歩く私は、ただの「女」なのだから。

「んっ……待って、あぁ……」

私は波のように押し寄せてくる快感に抗うように、彼の腕を掴んだ。結婚してから15年ほど、夫との仲も悪くなかったはずだ。

週に数度は抱かれて、女としてだって愛されていたはず。それなのに、こんな風に、触れられたことなかった。


「あ、あぁん……こんなの、初めて……こんなにするなんて……おねがい、待って……」

背中から脇、首筋へと滑る彼の指を感じて、身が踊る。太ももを何度も往復する彼の腕は、まるで由樹が触って欲しいところだけをはずして動いているようだった。「前戯」と呼ぶには執拗すぎるほどの逢夢に、由樹の身体はすっかり火照っていた。

「あの、私ばっかりなんて、悪いです……からっ……」

快感に身を委ねたい気持ちと、ヘルス嬢としてのプライドの間で、由樹は彼の股座へと手を伸ばした。彼はゆっくりとその手を掴んで、由樹の棟へと誘導する。そこは、由樹が触ってほしくて仕方のなかったところ。由樹は俊巡ののち、自らの乳首に触れた。

「あぁあ! や、やだ……っ!」

知らない快感だ。夫にはこんなふうに、自分の欲望に気付かされたことなんてなかった。一度火がついた自分は、自分でも止めることが出来ない。

「そろそろここも、可愛がってあげないといけないね」

由樹の痴態に嬉しそうな表情を浮かべながら、棚瀬は由樹の秘部に手を差し入れる。ぐちゅり、と粘ついた水音がホテルに響く。

「気持ち良い? 由樹さん……それとも、浅羽さん、のほうが良いかな」

「っひ、やぁ、なんで、い、イくっ……んぁああ!」

指の挿入とともに不意に名前を呼ばれ、容量オーバーした身体が絶頂へと突き上げられる。由樹はびくびく痙攣しながら、混乱する頭を整理しようともがいた。

「いいんだよ、何もしないさ」

「ぁ、待って、はぁんっ……い、いつから……」

「ふふ、熊本駅で会ったとき、だよ」

由樹はまりのことにめまいがしそうだった。どうして、という気持ちと、もう引き返せないところまで燃え上がった身体がせめぎ合う。

「ごめんね、心配になった? 脅したりなんかしないよ」

押し黙った由樹を心配するように、棚瀬が言った。由樹は俯いたまま首を振る。

「ち、違うんです」

「違う?」

「いま、止めるなんて、無理……」

由樹はいつのまにか抜き取られていた棚瀬の腕を掴んで、自らの秘部へと導く。まるで玩具を扱うかのように、彼の指で自らを愛無して、吐き出すように続けた。

「私、本当は、すごくエッチな……ううん……いやらしい女なんです」

棚瀬は頷き、由樹の秘部は責め立てる。すっかり濡れそぼった由樹地震は、ぬらぬらと棚瀬を誘うようだった。由樹は息を吸い込むと、ゆっくりと押し倒した。丁度、棚瀬の顔の上に自らの秘部がくる形。『顔面騎乗』という言葉は知っていても、実際にそれをする日がくるなんて、と由樹は頬が熱くなるのを感じていた。でも、本当の私は、こういうことがしたい、いやらしい女なのだ。

「た、棚瀬さんっ……舐めて……」

彼女の言葉を待っていたとでもいうように、棚瀬は由樹にむしゃぶりついた。目の前の棚瀬自信を口に含むと、膨れ上がっていまにも暴発しそうなほどだ。由樹は自らの秘部で、棚瀬が小さく喚くのを感じていた。

「あぁ、気持ち良いっ、もっと、もっとぉ……っ」

気がつけば由樹は本能のままに肉棒をしゃぶり続けていた。亀頭から裏筋、根本までを執拗にねぶる姿は、さっきまで由樹を責めていた棚瀬と重なった。

由樹は何度目かの絶頂を感じながら、夫はもちろん、デリバリーヘルスを始めてからのお客様にも、どこかで遠慮していたのだ、と思った。

「他に、したいことはない?」

由樹が幾度となく絶頂を迎えている一方で、棚瀬はまだ、はち切れんばかりの大きさを保っていた。由樹は小さな不安を感じ、「私、下手でしょうか」と訪ねた。棚瀬は否定の言葉とともに、由樹に質問を投げかけたのだ。

「したいことだ……あっ」

「昔、一度外でしたいことがあって……」

恥ずかしさをこらえながらつぶやくように口にすると、棚瀬は微笑んで立ち上がる。

「そっか……流石に外じゃできないけれど、こういうのはどうかな」

棚瀬はホテルの分厚いカーテンを開け放し、手招きしてみせる。5階の部屋からでは、誰にも見つからない。そう思っていた由樹は、小さく息を飲んだ。

「や、これじゃ、見えちゃうわ」

「見られて、したいんだろう?」

真向かいのホテルの窓が、由樹の目に飛び込んでくる。見えるわけがない、そう思ってみても、ぞわぞわと落ち着かない気持ちが背中を駆け上る。小さな恐怖感と一緒に、すっかり抜きれっていたはずの秘部から、どろりと蜜が溢れ出る。

「んふぅっ!」

不意に後ろから棟を捕まれ、由樹は声を上げた。後背位になって、棚瀬は器用に自分自身と由樹自身とを擦り合わせる。夫とは、挿入してもこんなに感じない。由樹は自分の体が塗り替えられていくのを感じていた。

「や、やだ、こんな格好で……はぁあ」

「いやなんて、思ってないくせに」

秘部を割くように、由樹の感じる場所すべてを棚瀬の肉棒が擦り上げる。どうしようもなく膨れ上がったクリトリスを棚瀬自身の亀頭が弾いた瞬間、由樹は今日一番の絶頂を迎えた。

「だめ、だめ、イく、イく、あぁああぁあっ……!!!」

「んっ、俺も……はぁ、っ……」

愛液と精液とが混じり合って、白い太ももを流れ落ちていく。由樹は窓枠に腕をついて、絶頂の余韻を噛み締めていた。

「うちの子、棚瀬さんのところのワタルくんと仲良くなってから、すごく明るくなったんです」

「ああ、こちらこそありがとう。うちのも楽しそうにしているよ」

「あのね、わたしも、棚瀬さんと仲良くなったら、もっと……変われるかしら」

「ふふ、どうだろう」

戯れるように言葉を選んだ由樹に、笑ってみせる棚瀬。「父親」と「母親」として会っていた彼とは、まるで違うふたりだ。

「また会いたいなぁ…。ね、また会ってくれる? ……お客様だったら、不倫にならないでしょう?」

「由樹さんは、なかなかにしたたかなんだね」

悪戯っぽく笑って、棚瀬は由樹の背中を撫で上げてみせた。身じろぎして頬を染めつつ、そっと棚瀬の腕をとって抱きしめる。由樹は「女」としての自分が、熟れて膨れ上がるのを感じていた。

[ VOICE & CAST ]

五十路マダム 熊本店(カサラブランカグループ)
松木 由樹(46)

[ PHOTOGRAPHER ]

JUN

[ WRITER ]

仙水 六夏

[ SHOP INFO ]

五十路マダム 熊本店(カサラブランカグループ)
tel.096-342-5105
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